カタカナの聞きなれない言葉を並べて、簡単なことを難しく感じさせようとする奴らに耳を貸してはいけません。世の中には効率化という言葉であなたを騙そうとしてくるマウント野郎がたくさんいます。例えば2024年問題を解決するという効率化ツール。それは本当にあなたの利益になりますか?先行きが見えない今だからこそ、運送会社が生き残りをかけて取り組むべき戦略を考えていきたいと思います。
賢い奴に騙されるな
戦略とは生き残るためのもの
「持続可能な物流のため」と効率化を謳うサービスの情報を目にします。しかし、今のあなたに必要なのは売上と利益です。経営戦略とは自社を生き残らせるためのものであり、持続可能な物流社会のためのものではありません。立派な理念を掲げていても、「まごころを運ぼう」とも、売上がなくなり、現金が底をつくと会社は倒産(破産)してしまうのです。生き残るための戦略とは、利益を出して現金を増やすことを目的にすべきなのです。
とにかく運ぶ
誰が何と言おうとも、運送会社はトラックで物を運ばなければお金を稼ぐことはできません。EVを導入したり、AIで運行や労務を管理したり、梱包材で環境配慮をしたりしても、売上が増えなければ意味がありません。資金が潤沢にある大手が取り組んでいる効率化のニュースなんて見ても、あなたの会社を救う方法なんて見つかりません。中小規模の運送会社が考えるべきことは「どうやって仕事を確保するか」です。あなたの会社に必要な売上があがるまで荷物と傭車を探し続けるしかないのです。
奇跡を望まない
タレントにはなれない
動画やSNSが話題になって会社に注目が集まり、お客さんが次から次へと集まって、会社の業績がうなぎ上りになりました。こんなサクセスストーリーがあなたを待っていることなんてありません。ユーチューバーやインフルエンサーなんてものが職業になるくらいなので、その可能性にかけてみたくなる気持ちは分からないでもありません。でも彼らはエンターテインメントのプロです。そしてあなたは運送のプロ。餅は餅屋という言葉があるくらいなので、運送会社は物を運ぶことで勝負しましょう。
水屋仕事の重要性
荷物と傭車がいなければ売上を増やすことはできません。これは水屋に限ったことではなく、運送会社にも言えることなのは、あなたでも分かることでしょう。荷主からの受注が少なければ、同業の協力者から荷物を分けてもらわなければなりませんし、荷主の受注が多ければ、その期待に応えるために傭車を探し回らなければなりません。水屋、水屋と蔑んで呼びますが、やらなければならないことは運送会社も水屋も変わりません。荷物、傭車、足りないものがなくなるまで情報を取り続けるしかないのです。
営業一択
顧客との関係を維持する
新規顧客の獲得には既存顧客に販売する際の5倍のコストがかかるという1:5の法則。顧客離れを5%改善すると利益が25%改善するという5:25の法則。これらの法則から分かるように、既存顧客との関係維持には効果が期待できます。だから、あなたの会社の売上を増やしたい場合、新規獲得よりも顧客関係の維持や改善に集中する方が良いでしょう。そして、ここでも重要になってくるのが運送会社でも日常行われている水屋の業務(利用運送業務)なのです。
減ったものを取り返す
経営不振に陥った会社が、すぐにでもとるべき改善策は営業一択です。新規顧客の開拓、既存顧客の関係維持、そして顧客離れの改善に取り組みましょう。そこでコストをかけず、すぐに取り組める施策として、顧客離れの改善をおすすめします。一度離れた顧客とはいえ、あなたのサービスを利用した経験があります。定期的に接点をつくり、コミュニケーションを取ることで、再度受注を得られる可能性があります。減ったものを取り返すだけでも売上はプラスになるのです。
顧客維持で得られる効果
既存取引の重要性
配車と呼ばれる水屋仕事は、既存の取引先に電話して、同じようなフレーズで問い合わせをすることが多いと思います。「〇〇発、△△行きのトラックいませんか?」のような一言で、既存の取引先はこの会話に含まれていない他の情報まで補完して考えてくれます。このようにあなたが伝える情報に対する相手の知識が増えるほど、トークの時間を減らすことができます。わずか5分の違いでもそれが何十回と積み重なれば大きな時間の差を生み、成約数に大きく影響するということをあなたも知っているはずです。
紹介やクチコミ
配車をしていると既存取引先からの紹介で新規取引が始まることがあります。既存の取引を丁寧に行っているだけで、意外とこのような紹介が得られやすくなります。運送業でも「あそこの運転手は仕事が丁寧だ」とか「あそこの配車担当者は提案力がある」など知らないところでクチコミが広がっていることがあります。良いクチコミばかりならいいのですが、当然のことながら悪いクチコミもあります。このように日頃の配車取引における姿勢は良くも悪くも売上に影響するので気をつけなければなりません。
配車の基本
クロスセル
既存の配車取引に力を入れることで売上を向上させることができます。例えば、取引先からフィードバックを得ることで、プラスの効果が期待できます。フィードバックの取得はサービスを改善しようとする姿勢の現れです。これを行うだけでも顧客の体感価値を上げることができますが、効果はそれだけにとどまりません。荷主から既定路線以外の輸送を新たに依頼される、というようなクロスセルの効果も期待できます。このように、取り組み方次第で既存顧客から新規受注を増やすことは可能です。新たな受注は新規顧客から、というのは偏った見方なのです。
配車業務の基本
運送会社や水屋がつくり出すことができる営業力とは、既存取引先とのコミュニケーションによってあなたの会社だけが得ることができる情報の数々です。これを配車担当者の電話攻勢が支えているといっても過言ではないでしょう。前述してきたことからも分かるように既存の荷主や協力業者とコミュニケーションをとるのは時代遅れでも何でもありません。事業規模の大小に関わらず、こんな先行きが不安な時期こそ営業に力を全振りすべきなのです。
おわりに
あなたがどれだけ頑張っても2024年問題は解決できません。だからといって、2024年4月を迎えた瞬間に運送会社を辞める人ばかりだと思いますか?そんなわけがありません。こんなことを言っちゃ何ですが、2024年問題の解決なんて後まわしでいいのです。2024年4月以降にどんな未来が待っていたとしても、会社が続けられなければ意味がありません。とにかく、会社を続けていけるだけのキャッシュ(現金)さえあればどうにでもなります。今、あなたがすべきこと。それは配車に力を入れ、売上をあげることです。
お知らせ
『流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案』(国土交通省ウェブサイト資料)が交付決定されました。下請けに対する規制が厳しくなると繁忙期のトラックさがしも一層難しくなりそうです。そこで、新たに協力会社と知り合う新規開拓をするのも一つの手です。運送業の新規開拓の新しい形、配車ステーションについて詳しくはこちらをご覧ください。
最後までご覧いただきありがとうございました。